
1966年にビートルズが発表したこの曲は、それまでの音楽のルールを心地よく壊し、全く新しい世界を見せてくれた一曲です。ジョン・レノンはこの曲を通じて、「頭で考えるのをやめて、大きな流れに身を任せてみよう」と歌いました。
ビートルズ:常識から自由になる、音の実験
この曲のインスピレーションの源は、チベットの古い教えをガイドにした一冊の本でした。そこには「死とは終わりではなく、新しい自分への通過点である」という深い哲学が記されていたのです。
録音方法も、当時の常識を打ち破るものでした。普通に楽器を演奏するのではなく、録音した音を逆回転させたり、加工したりして、何重にも音を積み重ねていきました。
- ● 偶然から生まれる美しさ:
プロデューサーへのリクエストは「何百人ものお坊さんがお経を唱えているような音にしてほしい」というもの。緻密に計算するのではなく、その瞬間にしか生まれない「音の重なり」を大切にしました。 - ● 「今、ここ」を受け入れる:
「考えを止めて、流れに身を任せる」という歌詞の通り、余計なこだわりを捨てて、目の前にある混沌としたエネルギーをそのまま受け入れることで、この歴史的な名曲は生まれたのです。
歌詞が教えてくれる「生きる」ということ
『Tomorrow Never Knows』から気になった歌詞をご紹介します。
「それは死(終わり)ではない、それは生きているということ」
変化し続けること、そして古い自分を脱ぎ捨てていくこと。それは何かが消えてしまう悲しいことではなく、新しい命が始まる入り口なのだと教えてくれます。
「愛はすべてであり、愛はすべての人にある」
複雑に混ざり合う毎日の中にこそ、誰もが持っている「愛」という普遍的な光がある。そんな力強いメッセージが込められています。
作品との結びつき:重なりと余白
私の作品で画面の多くを覆っている「白」は、ただの空白ではありません。それは「塗り重ねられた時間」です。
ジョンが音を重ねて作ったように、私も過去の記憶や言葉の断片を白で覆い、描きました。右上の鮮やかな色や文字は、騒がしい現実の象徴。それを包み込む柔らかな白の質感は、「わからない明日」を不安としてではなく、すべてを優しく包む「静けさ」や「可能性」として表現しています。
まとめ
一度きりの偶然が生む音を大切にしたジョン・レノン。
私の作品も、偶然重なった紙の端や、その時の感情で動かした筆の跡の積み重ねでできています。
「昨日」の記憶を抱えながら、真っ白な明日へと向かっていく。
何が起こるかわからないけれど、その流れに身を任せることで見えてくる美しさがある。
この作品を通して、そんな「今、ここにある感覚」を皆さんに感じていただければ嬉しいです。