日常の何気ない瞬間に潜む「彩」を感じるような、私なりの試みが詰まっています。
今回の展示は、3人の作家によるグループ展です。
それぞれの個性が会場でどのように響き合うのか、私自身も今からとても楽しみにしています。
グループ展「SIDE BY SIDE」で私は、色と音楽をメインに構成しています。
展示を見る前に、私の制作で大切にしていることを、少しだけお知らせしたいと思います。
音を聴くように、色を感じてほしい
今回の展示でいちばん大切にしたのは、「色」そのものが持つエネルギーです。
制作中、ずっと聴いていたのは、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」でした。都会のざわめきさえも、軽やかな旋律に変えてしまう名曲です。
そんな音楽のリズムに乗るように、今回は描き出した作品をあえて一度「分解して、再構成する」という方法を選びました。
一番のメイン作品は、100枚描いた抽象ペイント画を一度バラバラにし、その断片たちを響き合わせるように再構築したものです。
会場では、私が制作時に聴いていたこの音楽とともに、一つひとつの色が共鳴するリズムをぜひ感じてみてください。
リルケの詩に導かれて
リルケの詩は、私の感覚に言葉を添えてくれました。
今回の制作のヒントになった詩の一節をご紹介します。
あまりにも久しく抑えられていた幸福が
既に一層高く吹き出して 牧場にいっぱいあふれている
背伸びをした巨人の夏は 既に感じている
老いた胡桃の樹のなかで その青春の衝動を軽やかな花はやがて散ってしまった
いまはもっと厳めしい樹々に忍び込んで働いている
けれどそれらの樹々をめぐって 空間がなんという円天井を作っていることだろう
そして今日から今日へ なんと多くの明日があったことだろう
この詩は「形が失われても、本質的な生命力が育ち続けること」を教えてくれます。
きれいな花が散っても、命は終わるのではなく、木の内部で静かに力を蓄え、やがて豊かな「空間」を作ります。
私の作品も、一度形を離れてバラバラになることで、色の一つひとつがより自由に、鑑賞者を包み込むような「心地よい時間」を作り出すことを目指しました。
色とリズムを読み解くヒント
リルケの詩と、私の作品がどう響き合っているのか。その紹介を少しだけ。
「抑えられていた幸福が、既に一層高く吹き出して」
ずっと自分の中にあった「色」を、キャンバスの上で自由にコラージュしました。
「軽やかな花はやがて散ってしまった。いまはもっと厳めしい樹々に忍び込んで働いている」
一度分解することで、色の断片はより力強く、リズムを刻み始めます。
「空間がなんという円天井を作っていることだろう」
今回取り入れたワイヤーの線と、そこから生まれる繊細な「影」。
それらが色彩と混ざり合い、空間全体を包み込むひとつの場所を作ります。
「今日から今日へ、なんと多くの明日があったことだろう」
ここで出会った色のリズムは、素材としての命を引き継ぎながら、5月の個展へと続いていきます。
色彩、音楽、そして言葉。
ぜひ会場で、音と言葉と色とリズムが響き合う瞬間を見つけに来てください。
展示空間と日常をつなぐ「AKORTE」
また会場では、私の新ブランド「AKORTE」の商品も手に取っていただけましたら幸いです。
制作を通して見つけた色のリズムや、日常の中の「彩」を、形を変えてお届けしたいという想いで用意しました。
展示で感じた空気感を、ぜひお持ち帰りいただけたら嬉しいです。
皆さまのお越しを、心よりお待ちしています。


