こんにちは。児玉明美です。
2026年の5月末に大阪のコンテンポラリーアートgalleryZoneで開催した個展「COLLECTIVE SELF」の記録を、ここにアーカイブします。
私たちは無意識のうちに、多くの情報を消費しながら生きています。しかし、そんな日常の中でも、あなたが何に心を動かされ、何を選び取ったのか。その「まなざしの跡」は、単なる記録ではなく、あなた自身を形作る大切な一部だと私は考えます。
個展「COLLECTIVE SELF」は、一貫した時間軸を持つ、過去・現在・未来を通じて「今」編み直す知覚の展示です。
バラバラだった日常の断片(カケラ)を拾い集め、重ね、再構成する。そのプロセスを通じて、「今」を感じ、訪れた人が自分自身の新しい感覚に出会うための「知覚を開く媒体」としての展示を目指しました。
展示会詳細
歴史あるレトロな桜井市場のギャラリーで、この展示は行われました。
| 展示会 | COLLECTIVE SELF ― 日常の断片を編み、今を刻む。 |
| 開催日時 | 2026年5月23日(土) – 2026年6月3日(水) 12:00-18:00 |
| 休廊日 | 5月28日(木)・5月29日(金) |
| 展示会のテーマ | 日常の断片を再構成し、「今」を立ち上がらせる体験型展示 |
| 会場 | コンテンポラリーアートギャラリー Zone 〒562-0043 大阪府箕面市桜井2丁目10−5 梅田から約30分、阪急箕面線桜井駅から徒歩3分「桜井市場内」 |
| イベント | 【1】SNS企画抽象的視点で日常の風景を切り取るイベント開催期間 2026年4月1日から6月3日(終了)詳細はこちら【2】リアル抽象的視点の街歩き&フォト撮影イベント【3】ワークショップ開催日常の断片を選び、切り取り、記録するワークショップ |
作品・プロジェクトの記録
鑑賞者が作品に触れ、新たな視点に出会う。そこで生まれた『今』というかけがえのない瞬間を、一つのアート体験としてアーカイブしました。
写真:抽象的視点 — 「意味」と「感覚」の境界線
日常の風景を接写し、抽象化した17点の写真作品。その上には、あえてぼかした「言葉」が重ねられています。私たちは文字を見た瞬間、無意識に「意味」を探してしまいます。しかし、その奥にある色彩や形をただ「感じる」こともできるはず。意味を捉えるのか、ただ浸るのか。その境界線で揺れ動く「知覚の曖昧さ」を体験する展示です。
リズムで読む本 — 身体性で読み解く128ページ
128ページに及ぶ「本の作品」です。左右のページには補色の関係にある色素材と様々な紙の素材(作品の素材になっているもの)が貼り付けられており、ページをめくるたびに偶然の出会いが生まれます。これは「読む」本ではなく、めくるリズムによって「感覚」と「時間」と「呼吸」を体感する、動的な作品です。
作品を「フレーム」と「虫眼鏡」で見る、新しい視点
会場の中央に展示している、大型コラージュ作品。剥き出しの素材のテクスチャー(質感)をそのまま感じられるように展示しました。そこに「錆びたフレーム」をかざしてフレームの中に自分だけの好きな部分を切り取ってみる。「虫眼鏡」をそっと近づけて、紙の材質やペインティングの重なりなどのリズムやテクスチャを覗き込む。全体を眺める視点から、自らの意志で一部を選択する視点へ。あなたの手で何度でも生まれ変わる瞬間を体感できます。
ジェンガ:「不確実で自由な選択」の積み上げ
各ピースに言葉とコラージュが施された、参加型のジェンガ作品です。サイコロを振り、ジェンガを自由に別の場所へ積み上げる。崩れゆくものと、新しく生まれるもの。その不確実なバランスの間に立ち上がる「いま、この瞬間の景色」は、私たちが日々行っている選択のメタファーです。
ルービックキューブ:約18垓通りの組み合わせ
2つのルービックキューブにコラージュを施した作品です。組み合わせの数は、約18垓(がい)通り。少し手を加えるだけで、二度と繰り返すことのない、世界に一つだけの色彩の組み合わせが現れます。私たちの日常の瞬間も、まさにこのキューブのような変化の連続です。なぜ「いま、この状態」が目の前にあるのかという「瞬間の奇跡」を可視化しています。
マンスリーカレンダー:「時間の地層」
128日間、毎日欠かさず日常の断片を記録し続けた、時間の堆積(プロセス・アート)です。淡々と続けてきた日々の行為が、やがて一つの風景として立ち上がっていく道のりを可視化しました。数が増えることによる達成感と、「今ここにいる」という生存の実感が、ページの厚みとなって現れています。あえて残された「空白のページ」さえも、「忘れてしまった大切な日」という断片として、自己の一部を形作っています。
SNS企画:みなさんと共有する抽象的視点
個展の開催に先駆けてオンラインで行った試みでは、2ヶ月で125件もの「日付入りの日常の断片」が集まりました。それぞれの地域、異なる時間で刻まれた日時。日常の風景の意味を一度剥ぎ取って、純粋な色や形として捉え直した日常の断片たちがオンラインの空間で出会うことで、「今」という同じ時代を共に生きる巨大な共同体としての表現に繋がりました。
ワークショップ — 未来へ届ける「刻(とき)の記憶」
展示を全て体感した後に、3ヶ月後の自分へ宛てて手紙を書くワークショップです。用意した作品の断片から一つを選び、「I am here」と記し、いまの想いを封じ込める。3ヶ月後の自分へ宛てて手紙をしたためる体験です。今が未来へと続いている意識を持って手紙を書いてもらいます。
日常の速さから離れ、自分自身と対話するこの時間は、時間と空間を超えて自分自身と対話するための、時間軸を繋ぐ仕掛けです。会期中、20名の方々が参加してくださいました。ありがとうございました。
奥の部屋のオブジェ:無意識の堆積
会場の奥部屋。ここには、ワイヤーや古いネジなどの質量を持つオブジェクトたちが佇んでいます。ワイヤーのかすかな揺らぎは移ろいゆく感情を、ネジや木片の重力は変えることのできない過去の事実を表しながら、観る人の無意識へと直接語りかけます。
展示会を見た人の声
展示会を見にきていただいた方の声をここで一部ご紹介します。
自分の振り返り
個展を終えて、私自身の視点もまた大きく更新されました。
それは、『世界を切り取ることは、自分自身を形作ること』だということ。
空間全体で私が試みたのは、理解することではなく、感覚をひらくことでした。会場でそれぞれの視点を持って作品と向き合い、その場を共に創り上げてくださった皆さまには、感謝の気持ちでいっぱいです。皆さんの存在こそが、この展示を完成させる『断片』でした。
また、こうしてアーカイブのページを開き、最後まで丁寧に読み進めてくださったあなたにも、心から感謝します。
この問いは展示が終わった今も、日常の中で続いています。
皆さまと共有したこの感覚を大切に、私の表現は次章へと歩みを進めます。これからも、この知覚の旅を見守っていただければ幸いです。
























