ART BLOG Books & Culture

『13歳からのアート思考』要約|アート思考とは?デザイン思考との違い

『13歳からのアート思考』要約|アート思考とは?デザイン思考との違い

English Summary

Ichiro
Ichiro
最近よく聞く「アート思考」ってなんですか?ビジネスにも役立つの?

はい、その疑問に答えます。

Akemi
Akemi
ビジネスでもアート思考という言葉を見かけるようになりましたが、いったいどういう意味なのか、少しわかりにくいですよね。

今回は、末永幸歩さんの『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』を読んで、アート思考とは何なのか、そして実際にアート活動をしている私の視点も交えて考えてみました。

この記事では、本の内容を分かりやすく要約しながら、アート思考とデザイン思考の違い、仕事や日常への活かし方、そして私自身が実践を通して感じたことをまとめています。

『13歳からのアート思考』とは?

『13歳からのアート思考』は、現代アートを入り口にして、「自分だけの答え」をつくるための考え方を紹介している本です。

本の中では、マティス、ピカソ、カンディンスキー、デュシャン、ポロック、ウォーホルという6人のアーティストの作品を通して、アートを「上手な絵を描くこと」だけではなく、ものの見方や考え方として捉えていきます。

この本を読んで私が特に印象に残ったのは、完成した作品だけを見るのではなく、そこに至るまでの「考えるプロセス」に目を向けることでした。

Akemi
Akemi
デュシャンとウォーホルの、既存の概念から外れた発想が面白かったです。

『13歳からのアート思考』の要約|アート思考とは?

私がこの本から受け取ったアート思考を簡単に言うと、

正解を探すのではなく、自分の中にある興味や疑問から、自分なりの答えをつくっていくこと。

ということだと思います。

学校では、問題があって、そこには正解があることが多いですよね。

一方、アートでは「この問いに対する正解はこれ」と最初から決まっているとは限りません。

「なぜこう見えるんだろう?」
「本当にそうなのかな?」
「私はどう感じるんだろう?」

そんな疑問を出発点にして、自分で考え、試し、表現していく。

そして、その表現からまた新しい疑問が生まれる。

この循環が、アート思考の大きな特徴なのだと思いました。

「興味のタネ」から始まる

本の中では、アート思考を植物にたとえて説明しています。

興味のタネ → 探究の根 → 表現の花

まず、自分の中にある「なんだか気になる」という小さな興味があります。

そこから、そのことについて考えたり、調べたり、試したりする。

そして最後に、作品などの形になって表れてくる。

ここで大切なのは、最初から「どんな作品を作ろう」と考えることではありません。

自分の中にある興味や疑問を掘り下げていくうちに、結果として表現が生まれてくるという考え方です。

アート思考では「上手い=良い」とは限らない

アートというと、絵が上手い人や、きれいな作品をつくる人を思い浮かべることがあります。

でも、現代アートを見ていると、必ずしもそうではありません。

一見すると簡単に見える作品でも、「なぜこれを作品にしたんだろう?」と考えさせられることがあります。

ここで重要になるのが、作品の技術だけではなく、その人が何に疑問を持ち、何を考え、どんな視点から表現したのかという部分です。

つまり、作品を見るときも「この作品の意味は何だろう?」と答えを探すだけではなく、

「私はこれを見て、何を感じたんだろう?」

と、自分の側にも問いを向けることができます。

アート思考とデザイン思考の違い

アート思考と一緒に語られることが多いのが「デザイン思考」です。

どちらも、決められた正解をそのまま探すのではなく、考えながら新しいものを生み出していくという点では共通しています。

ただ、出発点には違いがあります。

デザイン思考では、利用する人や顧客が抱えている問題やニーズを観察し、そこから解決策を考えていくことが中心になります。

それに対してアート思考では、自分自身の興味や疑問、価値観、感覚が出発点になります。

簡単に言えば、

「誰かの困りごとをどう解決するか」から始めるのがデザイン思考。

「私は何が気になるのか?」から始めるのがアート思考。

もちろん、実際には両者が重なる部分もあります。

ただ、「自分の中から生まれた問いを掘り下げる」という意味では、アート思考には独自の役割があると感じました。

アート思考は仕事や日常にも使える?

アート思考は、アーティストだけに必要なものではないと思います。

たとえば、仕事や生活の中で「これが普通だから」「今までもこうしてきたから」と考えていることがあったとします。

そこに、

「本当にそうなのかな?」
「なぜこうなっているんだろう?」
「私はどうしたいんだろう?」

と問いを持ってみる。

すぐに答えを出す必要はありません。

考えて、試して、少し変えてみる。

その結果から、また新しい問いが生まれる。

こう考えると、アート思考は特別な人だけが使う考え方ではなく、日常の中でも取り入れられるものだと感じます。

たとえば、仕事の進め方、新しい商品やサービスの企画、社内のルールなど、いつの間にか当たり前になっていることはないでしょうか。

そんなとき、「そもそも、なぜこの方法なのか?」「本当にこのやり方でいいのだろうか?」「別のやり方はないだろうか?」と問い直してみる。

すぐに正解を出そうとするのではなく、いくつかの方法を考え、実際に試してみる。そこから新しい発見が生まれれば、最初に立てた問いそのものが変わることもあります。

これは、正解が決まっていない企画や、新しい価値を考える場面でも役立つ考え方です。

『13歳からのアート思考』を読んだ感想

この本を読んで最初に思ったのは、

「これ、私が日々の制作や日常でやっていることそのものだ」

という驚きでした。

まったく新しい方法を教えてもらったというより、これまで自分が感覚的にやってきたことを、言葉にしてもらったような感覚です。

私は普段、何か気になるものがあると、それをそのままにせず、写真を撮ったり、調べたり、文章にしたり、制作の実験をしたりします。

そして、そこからまた別の疑問が出てきます。

これは、本の中に出てくる

興味のタネ → 探究の根 → 表現の花

という流れとかなり近いものでした。

「抽象的視点」の活動にもつながっていた

特にハッとしたのは、以前SNSで行った「抽象的視点」という企画や、私がテーマにしている「COLLECTIVE SELF」という考え方との共通点です。

普段なら「道路」「壁」「葉っぱ」として見過ごしてしまうものを、色、形、線、光、質感、影などに注目して眺めてみる。

「何を見るか」ではなく、「どう見るか(自分だけの見方)」を変えてみること。

考えてみると、これもアート思考につながる実践だったのかもしれません。

身の回りにあるものを別の角度から見てみることで、今まで気づかなかったものが見えてくるからです。

「自分だけの答え」は、最初から決まっていない

もう一つ、この本を読んで自分の制作について考えたことがあります。

私は「COLLECTIVE SELF」という考え方で、記憶や経験、人との関係、日々の出来事などが重なりながら、自分自身が形づくられていくことを考えています。

そう考えると、「自分だけの答え」も、最初から自分の中に完成した形で存在しているわけではないのかもしれません。

経験したこと。

出会ったもの。

そのとき感じたこと。

考え直したこと。

それらが積み重なり、その時々の自分の答えがつくられていく。

そして、また新しい経験によって、その答えも変わっていく。

だからこそ、答えを急いで決めるよりも、気になったことを拾い、問いを持ち続けることが大切なのだと思いました。

『13歳からのアート思考』を読んで考えたこと

この本を読んで、アートは「答えを出して終わるもの」ではなく、そこからまた新しい問いが始まるものなのだと改めて感じました。

何かを見て、「これは何だろう?」と思う。

調べてみる。

自分でも試してみる。

やってみたら、最初とは違う疑問が出てくる。

その繰り返しの中から、自分なりの表現や考え方が少しずつ形になっていく。

「正解を探す人」から「問いをつくる人」へ。

この視点は、アートだけではなく、これから何かを学んだり、新しいことを始めたりするときにも使えそうです。

まとめ|まずは「今、何が気になっている?」から

『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』を読んで、私が一番大切だと感じたのは、自分の中にある小さな興味や疑問を、そのままにしないことでした。

「こんなことを気にしているのは自分だけかもしれない」と思うことでも、そこから調べたり、考えたり、試したりすることで、自分だけの視点につながっていく。

アート思考とは、特別な才能がある人だけのものではなく、日常の中で「なぜ?」「本当に?」と立ち止まり、自分の視点で考えてみることから始まるのかもしれません。

私もこれから、何かを始めるときに「何を作ろう?」と考えるだけではなく、

「今、私は何が気になっているんだろう?」

というところから始めてみたいと思います。


English Summary

This article explores the idea of “Art Thinking” through the book Art Thinking from Age 13: Finding Your Own Answer by Sachi Sueinaga.

The book uses modern art as a starting point for thinking about how we can develop our own perspectives instead of simply looking for predetermined answers. Through artists such as Matisse, Picasso, Kandinsky, Duchamp, Pollock, and Warhol, the book encourages readers to look beyond artistic technique and consider the questions, ideas, and processes behind a work.

One of the ideas that stayed with me was the process described as:

Seed of Interest → Roots of Exploration → Flower of Expression

It begins with a small feeling of curiosity: “Why am I interested in this?” From there, we investigate, think, experiment, and eventually express what we have discovered in some form. The important point is that the final expression does not necessarily have to be decided at the beginning. It can emerge through the process of exploration.

This also helps explain the difference between Art Thinking and Design Thinking.

Design Thinking often begins with the needs or problems of other people and asks how they can be solved. Art Thinking, on the other hand, can begin with the artist’s own curiosity, questions, values, and sensations.

In simple terms, Design Thinking may begin with:

“How can I solve someone’s problem?”

While Art Thinking may begin with:

“What am I curious about?”

The two approaches can overlap, but Art Thinking places particular importance on following one’s own questions and developing a personal perspective.

Reading this book also made me realize that this way of thinking is already connected to my own artistic practice.

When I become interested in something in everyday life, I often photograph it, research it, write about it, or experiment with it through art. One question often leads to another.

This is closely connected to my own project “COLLECTIVE SELF”, which explores how memories, experiences, relationships, and everyday events accumulate and shape who we are.

It is also connected to my previous social media project, “Abstract Perspective,” where I encouraged people to look at ordinary things from a different point of view.

A road, a wall, or a leaf can suddenly become something else when we stop looking at it only as an object and begin paying attention to its color, shape, line, light, texture, or shadow.

In that sense, Art Thinking is not only about making art. It is also about changing how we see.

The book also made me reconsider the idea of “finding your own answer.” Perhaps our own answer is not something that already exists inside us in a complete form.

Our experiences, encounters, sensations, memories, and reflections accumulate over time. Through them, our answers gradually take shape—and they can change again as we encounter something new.

For me, this is one of the most interesting aspects of Art Thinking:

Art does not necessarily end with an answer. An expression can become the beginning of another question.

Instead of always trying to become someone who finds the correct answer, perhaps we can become someone who learns to create better questions.

For my own practice, this means asking myself not only “What should I make?” but also:

“What am I curious about right now?”

That small question may become the beginning of the next work, experiment, or discovery.

Related themes:
Art Thinking / Contemporary Art / Design Thinking / Curiosity / Questions / Perspective / Creative Process / COLLECTIVE SELF

-ART BLOG, Books & Culture
-